●● 野神 ●●


狐退治(宇賀の御玉)

これは稲荷のお使い『狐』の明と暗、二つを取材した一番である。

狐が宝珠を弄び戯れ遊んでいるところへ、八坂大神(須左男命)が来て宝珠を取りあげようとするが、狐は中々に宝珠を渡さない。八坂大神は弓に矢をつがえ威嚇する。狐危うしとみえたところへ、主神の宇賀御魂神(稲荷大神)が現われ、狐を宥め宝珠を取り上げて八坂大神に献上する。狐は名残り惜し気に帰る。八坂大神は弓の舞を奉納して終わる。

狐に矢をいろうとする八坂大神を止めに入る宇賀御魂神。

宝珠を八坂大神に渡そうとする宇賀御魂神。それを奪う狐。

天照大神から農事の研究を委嘱された宇賀御魂神(稲荷大神)は、あれこれと穀物の改良発見に肝胆(かんたん)をくだいていたある日、道を横切った狐があった。光る様なものをくわえていたのを見た宇賀御魂神は追いかけ、これを取り上げてみると植物で食べられそうなので、これを田に撒いた。やがて秋になると見事に稔り、食べると実に美味だった。

『狐』と名付け五穀の主なものとした。以後、狐は宇賀御魂神の従者としての待遇を受けたが、性が なので乱暴な行いが多かったので後に八坂大神に懲戒された。

これの物語から取材したものである。巷間狐を稲荷様と考える向きもあるが、狐が稲荷様では無く、その従者である。球を弄んだのは珠に 力があると考えられ、これを取り上げたのはその「増長しんを懲らしめた」という意味であろう。狐の珠遊びの状態はその性格が忍ばれる様で面白い。